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「原価率が合わない」と感じたら、まず数字を可視化しよう
飲食店経営において、原価率の管理は利益を守るための最重要課題のひとつです。売上は上がっているのに利益が残らない——その原因の多くは、原価率の管理不足にあります。
飲食店の適正な原価率は業態によって異なりますが、一般的には以下が目安とされています:
| 業態 | 適正原価率の目安 |
|---|---|
| ラーメン・麺類 | 25〜30% |
| 居酒屋・バー | 28〜35% |
| カフェ・喫茶 | 30〜35% |
| 高級レストラン | 30〜40% |
| ファストフード | 30〜35% |
この目安を超えている場合、何かしらの問題が起きている可能性があります。Excelを使って原価を「見える化」することで、問題の所在を素早く特定できます。
この記事では、Excelで原価率を管理するための具体的な計算式と関数、メニュー別原価管理の方法、食材ロス率の把握まで、実践的な内容を解説します。
飲食店経営の数字管理全般については、飲食店経営をExcelで効率化する完全ガイド2026 も参考にしてください。
基本:原価率の計算式を理解する
原価率の基本公式
原価率(%)= 原価 ÷ 売上 × 100
Excelでの計算例:
- A列:メニュー名
- B列:売価(税抜き)
- C列:原価(食材費合計)
- D列:原価率
D2セルの数式:
=C2/B2*100
または、パーセント表示にセルを設定しているなら:
=C2/B2
食材費の積み上げ計算
ひとつのメニューの原価は、使用する食材すべての費用の合計です。
例えば「焼き鳥盛り合わせ(5本)」の原価計算:
| 食材 | 使用量 | 単価(100gあたり) | 費用 |
|---|---|---|---|
| 鶏もも肉 | 150g | 200円 | 300円 |
| 鶏皮 | 80g | 80円 | 64円 |
| ねぎ | 30g | 50円 | 15円 |
| タレ | 20ml | 120円/100ml | 24円 |
| 串(5本) | 5本 | 2円/本 | 10円 |
| 合計 | 413円 |
売価が1,200円(税抜き)の場合:
原価率 = 413 ÷ 1,200 × 100 ≈ 34.4%
メニュー別原価管理シートの作り方
基本構成
Excelで以下の列を持つシートを作成します:
A列:メニューID
B列:メニュー名
C列:カテゴリ(前菜/メイン/ドリンクなど)
D列:売価(税抜き)
E列:原価(食材費)
F列:原価率(=E/D*100)
G列:売上個数(月間)
H列:月間売上(=D*G)
I列:月間原価(=E*G)
J列:月間利益(=H-I)
K列:利益率(=J/H*100)
原価率に色付けする条件付き書式
原価率が高すぎるメニューを一目で発見するために、条件付き書式を設定します。
F列(原価率)に以下の条件付き書式を適用:
- ホーム → 条件付き書式 → 新しいルール
- 「数式を使用して書式設定するセルを決定」を選択
ルール1:原価率が40%超(要注意)
=F2>40
背景色:赤(薄め)
ルール2:原価率が35〜40%(注意)
=AND(F2>=35, F2<=40)
背景色:黄色
ルール3:原価率が35%未満(適正)
=F2<35
背景色:緑(薄め)
食材ロス率の管理
ロス率とは
購入した食材のうち、実際に料理に使えなかった(廃棄した)割合がロス率です。
ロス率(%)= 廃棄量 ÷ 仕入れ量 × 100
ロス率が高いと、見かけ上の原価率は低くても実質的なコストは上がります。
ロスを考慮した実質原価率の計算
実質原価率 = 原価 ÷ 売価 × (1 + ロス率/100)
Excelの数式(L列に追加):
=E2/D2*(1+M2/100)*100
※M列にロス率(%)を入力
食材別ロス率管理シート
A列:食材名
B列:月間仕入れ量(kg)
C列:月間使用量(kg)
D列:月間廃棄量(=B-C)
E列:ロス率(=D/B*100)
F列:廃棄金額(=D*単価)
廃棄金額の月次集計:
=SUMIF(カテゴリ列, "野菜", 廃棄金額列)
具体的なExcel関数:知っておくべき8つ
1. SUMIF:カテゴリ別に合計する
=SUMIF(C:C, "前菜", I:I)
「カテゴリ」列が「前菜」の行の月間原価を合計します。
2. AVERAGEIF:カテゴリ別の平均原価率
=AVERAGEIF(C:C, "メイン", F:F)
メインメニューの平均原価率を計算します。
3. COUNTIF:原価率がしきい値を超えるメニュー数
=COUNTIF(F:F, ">40")
原価率が40%を超えるメニューの件数を数えます。
4. MAX/MIN:最高・最低原価率のメニューを特定
=MAX(F2:F100)
=MIN(F2:F100)
そのメニュー名を表示するには:
=INDEX(B2:B100, MATCH(MAX(F2:F100), F2:F100, 0))
5. VLOOKUP:食材単価マスタから自動取得
食材マスタシートを別に作り、メニュー原価シートから自動参照します:
=VLOOKUP(A2, 食材マスタ!A:C, 3, FALSE)
食材コードからg単価を自動取得します。
6. IFERROR:エラーを非表示にする
=IFERROR(C2/B2*100, 0)
売価がゼロの場合などのエラーを防ぎます。
7. TEXT:原価率を「%表示」でセルに埋め込む
=TEXT(F2/100,"0.0%")
8. SPARKLINE的な代替:データバーで視覚化
条件付き書式の「データバー」を原価率列に適用すると、数値の大小が棒グラフのように視覚化されます。
原価率管理の実践:月次レビューの進め方
月次確認チェックリスト
毎月末にやること:
- 当月の食材仕入れ額を集計
- カテゴリ別の売上と原価を集計
- 原価率が35%を超えたメニューをリストアップ
- ロス率が前月比で上がった食材を特定
- 廃棄金額の上位5品を確認
原価率悪化の原因分析フローチャート
原価率が目標を超えた場合、以下の順で原因を特定します:
- 仕入れ価格の変動 → 食材単価マスタを更新して再計算
- 廃棄・ロスの増加 → ロス率シートで前月比較
- ポーション(量)の過多 → レシピ通りの量で提供できているか確認
- スタッフのミス → 仕込み量の記録と実績を照合
- 価格設定の問題 → 原価率の計算を再確認し、値上げ検討
原価率改善のための実践アクション
アクション1:ABC分析で注力メニューを絞る
全メニューをABC分析して、改善の優先順位をつけます。
// 売上構成比の計算
=H2/SUM($H$2:$H$100)*100
// 累積構成比(並べ替え後)
=SUM($L$2:L2)
// ABCランク(IF関数)
=IF(M2<=70,"A",IF(M2<=90,"B","C"))
Aランク(売上上位70%)のメニューの原価率を1〜2%改善するだけで、利益への影響が大きくなります。
アクション2:食材仕入れカレンダーと連動する
季節によって食材の仕入れ値は大きく変動します。Excelの月ごとのシートで仕入れ価格の推移を記録し、価格が上がる時期に原価率が高くなるメニューを事前に把握しておきましょう。
アクション3:売価変更シミュレーション
原価率を改善するために値上げを検討する場合、Excelでシミュレーションができます:
// 目標原価率を達成するための最低売価
=C2/目標原価率セル
// 現在の売価との差額
=シミュレーション売価-D2
ピボットテーブルで一気に集計する
大量のメニューデータがある場合、ピボットテーブルを使うと瞬時に集計できます。
設定方法:
- データ範囲を選択
- 挿入 → ピボットテーブル
- 行:カテゴリ
- 値:売上合計(H列)、原価合計(I列)、利益合計(J列)
ピボットテーブルに「集計フィールドの追加」で、原価率を計算します:
原価率 = 原価合計 / 売上合計
まとめ:数字が経営を変える
原価率をExcelで「見える化」することの価値は、問題の早期発見と意思決定の速度向上にあります。
「なんとなく利益が少ない」という感覚的な経営から脱却し、数字に基づいた経営判断ができるようになれば、飲食店の収益は着実に改善していきます。
今日からできる最初のステップ:
- 主力メニュー10品の原価を計算する
- それぞれの原価率を出す
- 高いものから順に改善策を考える
原価管理の数字が整ってきたら、日々の仕入れや経費の記録も自動化しましょう。freee会計 は飲食店オーナーにも使いやすく、銀行口座やクレジットカードと連携して仕入れ費用を自動仕分け。確定申告書類もガイドに沿って作成できます。
飲食店経営のExcel管理全般(資金繰り・シフト管理・売上分析など)については、飲食店経営をExcelで効率化する完全ガイド2026 で詳しく解説しています。
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